被災地を見て

今回の宮城県での炊き出し活動ついては、
ご報告を兼ねまして当ブログでレポートとして綴りました。

しかし被災地の状況について今の私には
「事後報告」や「レポート」などで綴れるほど
整理する事ができないままでいる事が現状です。

ただ、僕なりに感じた事を、後に述べる事の為に綴ります。


松島を過ぎ、東松島地区に入ったとたん風景は変わりました。
津波に全てを持っていかれた、全ての建物。
未だ片付く事の無い瓦礫。

奥松島へ向かうにつれ
人の生活を感じられない程の何も無い状態。
大きな建物と何本かの木々が
津波の恐ろしさを語りながら存在するだけの荒野。

「実際に見てみないと、この恐ろしさはわからない。。。」
ただ呆然としながら、砂利で作られた道をただゆっくりと進みました。

自分に出来る事は料理だけ。

むしろ、現地に到着した時の空虚な心は
料理という二文字だけが自分の存在を認めてくれて
僕をそこから救ってくれたように思います。
それくらい、整理がつかず、
現地のボランティアの方々へも
何を話して良いのわからない時間でした。

ただそんな僕も、炊き出しを終えて帰るときには
「この現実を実際に見る事は大切な事なのではないか」
という思いになっていました。

というのも、今回の炊き出しの場を取り繕ってくれた
フィオッキのスタッフ、佐々木の友人である “ヒロシくん” に
帰る前に、津波が襲ったこの街の
その時とそれからの状況を聞く事が出来たからです。

彼はこの町に住む数少ない青年で、消防団の活動をしています。
ですので、被災地の事を事細かく熟知していました。
聞く話は想像を絶するものであり、あまりにも無惨な事ばかりでした。

東北は頑張って欲しい、そして絶対強くなる。

たかが一日訪れた自分としては軽薄な言葉となりますが
心からそう願いました。


僕は料理人なので、語り継げるような事など出来ませんが
実際にそこに立てば、これからの復興に、
より耳を傾けられ、より理解が出来るのではないかと思います。

一人でも多くの人が、あの瓦礫の山の崩壊した街に立つ事が
今後の復興支援や天災への対策に繋がって行くのではないか、と思っています。


とくに炊き出しなどに行こうかと迷われている僕と同じコックさん達は多いと思います。
僕も時間の都合がつけられれば、何らかのお手伝いをさせて下さい。
是非、声をかけて下さい。
力を合わせれば、より良い事が出来るし
そんなに大変じゃないと思います。
現地はまだ、 避難所生活が続いています。
水が通っていなく、自炊不可能なところは多くあります。
皆さん、食事に困っている時期は確かに過ぎました。
でも、いつも同じ物を召し上がっているそうです。
僕たちのいつもの料理は、きっと被災者さんたちに笑顔になってもらえると思います。


最後に、今回の活動に関して沢山の温かいメールを
お客樣方や友人から頂けました。
実は出発前から、いろいろな不安や悩みがありました。
それを払拭してくれるお声でした。
なにが正解かは未だわからずにいます。
でも、たぶんそんな事より
行動したり、話したりする事が大事なんだと今は思っています。
皆様からいただいた、温かいお声は、僕をそんなふうに整理させてくれました。
前回と重複致しますが
今回ご協力頂いた、沢山の方々と共に
この場を借りて、 心より深くお礼申し上げます。
by ryo_horikawa | 2011-06-04 21:59

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by ryo_horikawa