6月のおまかせメニュー (3) 穴子のピカタ

6月のおまかせメニュー (3) 穴子のピカタ_c0130206_2320596.jpg


今月のおまかせコースの温前菜、
“パルマ産黒豚の自家製ラルドをまとわせた
マッシュルームのラグーをアクセントにした衣での
スモーク穴子のピカタ 増田農園野菜との温かいサラダ
クルミオイルのほんのり甘いヴィネグレットで”
です。

長い題名の割には見た目、シンプルな料理です。

普段、料理にここまで長い題名は付けないのですが
それぞれの食材が個性的であり、召し上がって頂くと
全てがまとまっていく一体感を楽しんで頂きたい料理なので
このような題が付きました。

ただ、あくまでも穴子を楽しんで頂く料理です。

この調理法はピエモンテ州の、リストランテ・フリッポーで
ナマズでやっていたものです。

ナマズが安定して手に入りづらい事から
試行錯誤の上、穴子を思いつき
この料理になりました。

淡水魚と海水魚で料理のスタートにだいぶズレがありますが
魚のゼラチン質や脂のニュアンス、スモークしたときの
卵と相性、なぜか最終的にはかなり近い存在になりました。

私がフリッポーで働いていた若かりし時、
ワルテルシェフがトリノへの買い物に連れて行ってくれえた帰りの車の中
「リョウは日本に帰ったらどんな料理のお店をやりたいんだ?」
シェフが私に突然聞いてきました。
私は
「今教わっている山のイタリア料理を中心にイタリアの郷土料理を作る店をやりたい」
と答えると
「日本はとにかく魚が美味しいんだろ?ヨーロッパの名だたるシェフが
みんな日本の魚に注目してる。
日本の食材を沢山使った料理をやれば良いんじゃ無いか?」
とシェフの答え。
客観的に見たら、当たり前の答えなのですが
当時の私はイタリアの食文化の濃さと深さに圧倒されていて
幼い頃から身近に合った日本の食材は
どうしても深く考えられずにいた時期でした。


今回の料理を作っていると、あの時のワルテルシェフに顔が浮かんでくる、
そんな私の中の思い出がベースの料理です。
by ryo_horikawa | 2009-06-24 17:52

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by ryo_horikawa