ADESSO nu,2 レストランの評価
2010年 09月 20日
星の数程増えたレストランの分、イタリアンのニーズも多様化し
リストランテでの食事も
ガストロノミーアという1つの食文化に成って来たように思います。
この10年間で、インターネットによる口コミサイトなども発達し
ユーザーはニーズに合わせて
レストランを自在にセレクトできる様になりました。
雑誌やTVなどの、メディア媒体も含め
レストラン業界は大いなる進歩があったと思います。
その代表格はミシュランの日本上陸では無いでしょうか。
仕事をしていて、そういったなかで今、感じるのは
初めての御来店でも純粋にフィオッキでの時間を楽しんで下さる方々は別として
基本的に初めて当店にいらっしゃて頂いたお客様方には
そのお客様自身のアイデンティティは
その1回だけではなかなか感じて頂けていないという事がとても気になります。
なかなか1回では近づけない。。。
なので初めてのお客様には2回、3回となる様な、
そして最大限そのお客様の満足度が上がる様な仕事を心がけています。
回を重ねて頂いたお客様は
何かしらの理由でお店を愛してくれて
お店側はそのお客様だけのおもてなしを1%なり100%なり考え
そして独自の空間が生まれて来るのだと思います。
そしてその反面、“星の数程あるイタリアン” を比較する為だけの目的で
初めて来店された方が当店を評価した場合、イタリアン評論的な見解は
サービスとお皿の上の表現、空間の3つだけにつきるのでは無いでしょうか。
そこに真の評価があるのか少し疑問です。。。
フィオッキにガイド本の調査員が来たとは思えないし
世の中でいわゆる“評価” はどれくらいのものか分かりませんが
お店とは、そこを求めて何度も来てくれる方が
いつも笑顔で満足して帰ってくれていれば素晴らしい事なのではないか。
そんな風に思います。
ジャーナリズムとコアイズムの違いというのかな。。。
決して、ジャーナリストさんや、
料理評論家さんを気嫌いしている訳ではありません。
お客様一人一人の居場所という
アイデンティティが確立されるところに核たる話しがあるという事です。
自分も初めて行くお店にその年輪は感じられても
自身のアイデンティティは感じられません。
(実際、初めてのお店で料理を楽しむのも好きですが、行きつけの店に行く方が好きです。)
最初はメディアも必要な事かも知れません。
ただ最近では自店も、沢山のお客様に支えられて来ている事を実感できています。
お客様とのライヴでお店が成り立つ様になって
お店が出来上がって来た感じがするのです。
私はこの感覚を大切にしたいと思うのです。
最後に誤解の無いよう、もう一度書きますが、
一人でも多くの1回のお客様が、2回、3回になり
15年、20年とお店が歳をとっていければ幸いに思っています。
今までのメディア取材も自分のモティベーションを上げる事が出来ましたし、
いろいろなお客様に御来店頂けました。
この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
そしてこれからも宜しくお願い致します。
我々のお店をもっといろいろ方に知って頂きたいですから。
ミシュランも、将来はスタッフの誇りの為に星が欲しいです。
また星は無くとも、仕事はそのレベルになる様に常に頑張ります。
ただ、お店に対しては“星の数程あるイタリアン”
をフィールドにしているメディアに取り上げられる事だけを主体とするのは
“星の数ほどイタリアン” に埋もれる事と同じなのではないかと思っています。
せっかく切磋琢磨しても、それでは悲しい・・・。
フィオッキを観光スポットにはしたく無いし・・・。
今、思う事、
メディアはきっかけであり、その先に本質がある。
真の評価とは、どこの誰からどこに頂くものなのか・・・
店には、たった1つの輝く星を。そして心には三ツ星を!
しっかりと舵を握り直すADESSOです。