奇跡の生ハム!見学!!!
2013年 10月 03日
“ボン・ダボン”という生ハム工房に見学にお邪魔して来ました。
ご夫婦2人だけで運営されている
小さな(イタリアに比べれば)偉大な工房で、
多田さんの職人としてのこだわりは、ハンパでは無い。いやハンパなんてもんじゃ無い。
全てが驚愕と感動の坩堝でありました。
今回の見学に至ったのは、
我らが“サルメリア69”の新町さんのご紹介でして、
新町さんと多田さんがフィオッキにお食事にいらっしゃっていただきました。
その際に多田さんの熱い熱いお話を聞き、
僕と新町さんは工房見学を熱望し、
新町さんのお陰でこの日を迎えられました。
仕事が終わり、希望者3人のスタッフを車に乗せ、一路、岐阜へ!
休憩仮眠を取りながら、朝の8時半に現地に到着。
奥様が温かくお出迎え下さいました。
そして、ご主人の多田さんからの工房内のご案内が始まったその時からもう
そのこだわりから来る、事細かな哲学と理念。もう驚愕でした。
徹底した温度管理と衛生。
そしてハムにとって「最も良い事は?」の答えから生まれるメソッドは
素人の我々には究極としか思えないし
ここまで夫婦お二人で、そして多田さんの
経験と夢、情熱で出来上がるのかと、本当に感動でした。
画像にあるそれぞれのハムの部屋は、その行程ごとの別々の部屋です。
それぞれが論理的に出来上がっています。
生ハム作りで印象に残った沢山の言葉から
「パルマハムは海の潮風が山を越えてパルマに来ます。
その時に野山の沢山の香りを含めてパルマにやって来る。
その風が美味しいハムを作ると言われているんです。」
多田さんは日本の何処で工房を開くか、
車でトータル5000キロも走ってやっとこの地に決めたそうですが
その理由の一つに、この“風” が吹く場所だったからだそうです。
そして、想像を絶するご苦労を経て生ハム作りが始まり、
現在でまる2年の月日が過ぎ
多田さんが豚を屠殺、解体から行う、生ハムが出荷されています。
その生ハムを多田さんはペルシュウと呼んでいます。
最後に試食させて頂いた生ハムは
それはそれは繊細で香り豊かなトロけるものでした。
その際にも、多田さんはイロイロ思いを沢山語って下さいました。
日本で作る完成度の高い生ハムが
良い状態で一般家庭で食される文化が生まれるまでには
今、ご自身が熟成させているハムが600本では少なすぎるとの事でした。
これからはご自身のノウハウを、もっと大きな資本が作り上げていけば良い。と、
なんとも海のように広く大きなお考えをお持ちでした。
そんな多田さんが最後に
「フィオッキにもまた今度、妻と行きたいです。
一人で美味しいもの食べちゃって妻に怒られちゃって。
でも美味しいものを食べると、妻にも食べさせたいなぁって思うんですよ。」
豚の返り血を浴び、ペルシュウを仕込み、ハムを扱う事にいいかげんな人には
それはそれはハッキリ物を言う多田さん。
ハムと奥様への愛情のたっぷりの温かいイタリアーノでありました。
夢を持ち、情熱を持ち、信念を持つ。
夢も希望も誰にでも与えられている事です。
ただ自分でそれを持とうとするかしないか、
そして、やるかやらないかだけだと思います。
自分の店も13年が経ちました。
皆さんからお祝いの言葉を頂け、本当に幸せです。
でも自分では、今までの道のりに大きな満足はありません。
本当に自分のベストを尽くして来たかのか、そして尽くしているのか。
自問自答しまうこともある中、お店を開いて13年目の記念日に
ひとつしっかりと答えが出ました。
「まだまだやることがありすぎる。やれていない事だらけである。」
多田さん、そしてご縁を下さった新町さん、
良い日に良い経験をありがとうございました。
多田さんのペルシュウ工房“BON DABON" のホームページです。
ご興味のある方は是非お読み下さい。
なぜ岐阜のその地なのか。
なぜ生ハムをペルシュウと呼ぶのか。
なぜ豚の屠殺からやらなければならないのか。
などなど、ここに至までのこだわりやエスプリが記載されています。