お皿の上の裏側
2013年 11月 07日
画像、グロテスクなので、下部にアップします。
お苦手な方はスクロールのやり過ぎにご注意を。
なぜそういう画像をアップするかといいますと
生産者さんのハートをお伝えしたいからです。
今回のメニューで僕はカッポーネ(雄鶏)を使いたく
ひと月ほど前に、いつもお世話になっています二宮さんに相談しました。
すると二宮さん
「カッポーネかぁ・・・Xmas用の育ててるから、まだちょっと早いな・・・」
と想定内のお返事。
しかしその後に
「こいうのはどう? カッポーネはさ、美味しいのはその育て方は勿論なんだけどさ、実は羽を抜くのを手作業でやってるんだ。これ、機械仕事と全然味が変わってくる訳。でも職人でも一羽につき30分以上はかかるのね。だから普段はやらないんだけどさ、これでちょっと長く育てた雄鶏でやってみる?」
二宮さんの鶏、長く育てると食感はつきますが
美味しいのを良く知っている僕は二つ返事で
「お願いします!」
で、この雄鶏が届きました。
“美味しさ” と “残酷”は表裏一体です。
僕の仕事は、その “繋” です。
だから今回は料理と反対側のお話。
食の裏側はなかなか見られない物です。
現代の養鶏の世界は
“いかに早く大きく沢山育て、なるべく消費者に多く消費してもらう為に安価に”
が主流です。
人々の生活を支えている訳でそれに否定は無いです。
ただ、そこでは生き物がベルトコンベアに乗り、完全に工業製品になっています。
否定では無く、現実のお話です。
安価な物は、裕福な現代では、時として祖末に扱われます。
それは社会が作り上げてしまった価値観だと思います。
今回のこの鶏の
勇ましく育った鶏冠、鮮度の良い顔。丁寧に処理された皮膚を
残酷と思わず見て欲しいのです。
大切に扱いたいと思わされます。
でもどんな食材も命を殺生してのこと。
大切にしなければなりません。
そう思わせてくるんです。
まず、美味しかったら祖末にしないと思うのです。
「美味しい」の基準は今までに食して来た食の過去です。
大量生産でないとなかなか難しい今の養鶏の世界において
こういう食の世界を提案してくれる生産者さんは
僕は未来の大切な食のあり方を伝えてくれているような気がするのです。
現代の食の裏側は、見るに見れない物もあります。
あえて知らなくても良いのかも知れません。
でも、僕は知ってもらいたい部分があります。
何故なら、少なくともこれは、その食の裏側の世界では
とても心のこもった素敵な物だと思うから。
すぐに捌いて、塩をして少し寝かせ、もちろん皮ごと
低温でボイルしました。
手は焼いて賄いで焼いて食べました。
鶏冠は下処理をしてフィナンツィエーラに。
二宮さん、そして、イタリア料理、ありがとう。